4月11日は何に陽(ひ)が当たったか?
前回とはガラリと趣を変えて、今回はロック/ポップスからのご紹介です。
1981年4月11日は、「Billboard 200(ビルボードの総合アルバム・チャート)で、アメリカのロック・グループStyx(“スティックス”ではなく”スティクス”と読みます)の10枚目のアルバム、「Paradise Theatre(パラダイス・シアター)」が2週目の1位に輝いた日です。
個人的にStyxは学生時代より最も長きにわたって、現在もなお愛し続けているロックバンドです。自分自身のリアルタイムで彼らを知った時のアルバムでもあり、ボーカリストのDennis DeYoung(デニス・デヤング)が口ひげを蓄えていた最後のスタジオアルバムでもありました。翌年には初の来日ツアーを行っており、当時の日本での人気ぶりも急上昇中でありました。結成当初はWooden Nickelというレーベルでハードなプログレ系のサウンドで、特に1972年のデビュー・アルバム「Styx」のではいきなり4部構成からなる、13分以上に及ぶ大作「Movement for The Common Man」をtrack1に収録したり、2枚目の「Styx Ⅱ」ではバッハを使ってパイプオルガンの調べを聴かせるなど、”技”と”親しみやすいコーラス”と”独創性”を大きな売りにしたバンドであります。
シングルでは前作「Cornerstone(コーナーストーン)」の収録曲「Babe」が先にナンバー・ワンに輝いており、アルバムでは今作品が初めてです。この頃のStyxは、これまで行ってきた独自のハードなプログレ・サウンドに区切りを付けて、親しみやすいポップ・ロックを重点に置こうとしていた時期で、前作「Cornerstone」はそれが顕著に表れた作品でした。本作品「Paradise Theatre」は音的には前作のようなポップ性を重視しているものの、アルバムはプログレ系バンドが得意とする完全なコンセプト・アルバムとなっており、シカゴに実在した劇場を栄枯盛衰をモチーフに、発売当初の政治、経済、文化や社会で激動するアメリカを隠喩したものとなっています。
本作品はシングルカットされた「The Best of Times」「Too Much Time on My Hands」のヒットも手伝って、1981年4月4日に首位に立ち、1週間経ったこの4月11日も連続して1位を守りました。しかし次の週は本作が1位に躍り出るまで1位を続けていたロックバンド、REO Speedwagon(REOスピードワゴン)の「Hi Infidelity(禁じられた夜。REOにとっても初のナンバーワン・アルバムだった)」が再び1位を奪回し、3週間居座りますが、その次の5月9日に再びStyxの本作が1位に返り咲いています。結局トリプルプラチナを獲得したこの「Paradise Theatre」はStyxを代表するアルバムとなりました。
このStyx、その後は活動停止やメンバーチェンジなどの時代を経て現在も元気に活動中ではありますが、2000年は面白いことに、代表作「Paradise Theatre」と首位合戦を展開したREO Speedwagonとジョイントライブ・アルバム「Arch Allies: Live at Riverport」をリリースしています。
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