6月6日は何に陽(ひ)が当たったか?

1981年6月6日は、ブリティッシュ・プログレッシブ・ロック・グループのベテラン、The Moody Blues(ムーディー・ブルース)の10枚目のスタジオ・アルバム、”Long Distance Voyager(邦題:’魂の叫び‘。LP発売時は’ボイジャー~天海冥’)”からの第1弾シングル、”Gemini Dream(邦題:ジェミニ・ドリーム)”が66位にエントリーした日です。先日に続き、Patrick Moraz(パトリック・モラーツ)関連が今回も続きます。
ムーディー・ブルースは、1972年にリリースされた8作目”Seventh Sojourn(邦題:セブンス・ソジャーン)”は、Billboard200アルバムチャートで初の1位に輝き、ゴールドディスクを獲得したものの、その後のクループとしての活動が停滞しました。その後はベスト盤やライブ盤、メンバーのソロ作品でつなぎ、1978年のスタジオアルバム9作目”Octave(邦題:新世界の曙)”で復帰を遂げたものの、グループのメンバーで、メロトロンを世に広めた功労者であるMike Pinder(マイク・ピンダー。Key)が脱退、さらには長らくグループのプロデュースを行い、”第6のムーディーズ”とまで言わしめたTony Clarke(トニー・クラーク)も次作のプロデュースを降板することを発表と不運が続き、復帰を賭けた”Octave”も、本国イギリスではトップ10内に入り健闘しましたが(6位)、アメリカ、Billboard200では13位と、1969年発表の4作目”To Our Children’s Children’s Children(邦題:子どもたちの子どもたちの子どもたちへ)”の14位以来、トップ10入りを逃しました。
再起を賭けるムーディー・ブルースは、”Octave”ツアーに、マイクに代わって新たに参加したパトリック・モラーツを同行させ、次作”Long Distance Voyager”の制作にとりかかりました。プロデューサーにはブリティッシュ・ロック・グループ、Status Quo(ステータス・クォー)の”Rockin’ All Over the World(1977)”、”If You Can’t Stand the Heat…(1978)”、”Whatever You Want(1979)”を本国で立て続けにヒットさせた人物として知られるPip Williams(ピップ・ウィリアムス)を迎えました。
ピップは、The New World Philharmonicのストリング・セクションのアレンジも担当、メロトロンに代わる音の1つとして使用されました。曲の構成では、Ray Thomas(flute,vo)がリード・ボーカルをとる、道化師を賛美した3部作”Painted Smile(邦題:偽りの微笑み)”、”Reflective Smile(邦題:道化師に100万回のキスを!!)” 、”Veteran Cosmic Rocker(邦題:ヴェテラン・コズミック・ロッカー)”は組曲形式で構成され、アルバムの締めを飾る形で収録されました。これは同じくピップがプロデュースした次作”The Present(1983。邦題:新世界の道程)”でも”I Am”、”Sorry” と2部に別れた組曲形式の楽曲をアルバム最後に収録しています。とはいえ、往年のプログレッシブ・ロック・グループが多用した難解なものではなく、非常にポップで、幅広い年齢層で受け入れられる親しみやすさがありました。
また3曲目のシングルとなる”Talking Out of Turn(邦題:的はずれの一言で)”を筆頭に、”In My World(邦題:僕の世界)” 、”Meanwhile(邦題:移りゆく愛)” 、”Nervous(邦題:不安な日々)” といった、ポップス界では定番であるバラード系のラブソングを、中心人物であるギタリストのJustin Hayward(ジャスティン・ヘイワード。gtr,vo)やベーシストのJohn Lodge(ジョン・ロッジ。bass,vo) が優しく歌い上げています。
また”人間は22000日という寿命を楽しく生きよう”とジョン・ロッジが歌う、”22,000 Days(邦題:人生は2万2千日のショウ)”はドラマティックなナンバーで、特に終盤はドラマーのGraeme Edge(グレアム・エッジ。drums)が際立ってエネルギッシュなドラミングを展開し、聴く者を惹きつける魔力みたいなエッセンスがある1曲です。
1981年5月15日、再起を賭けた”Long Distance Voyager“はついにリリースされました。先行シングルはA面3曲目に収録された”Gemini Dream“が選ばれました。これまでのムーディー・ブルースでは聴いたことのないようなポップなロック、前日紹介したパトリックのプレイも相変わらずの早弾きながらも縦横に響き渡る、ある意味楽しめるシンセサイザーのメロディ、これに加えて心温まるジャスティンのリードボーカル、そしてサビにおけるジョンとのボーカルの掛け合いもあり、聴く者の体を揺さぶらせて楽しめる心地良い曲です。
“Gemini Dream”は陽の当たった66日付のBillboard HOT100で、まさに66位でチャートインしました。するとなんと2週目で37位と29ランクもジャンプアップしてトップ40入りを果たしたのです。以降、26位→20位→17位→15位→13位→13位と続いて、8月1日付けで12位まで上がりました。これをピークにこのあと下降していきましたが、隣国カナダのチャートでは、初期の彼らの代表曲である”Nights in White Satin(邦題:サテンの夜)”以来の1位を記録しました。続く2枚目のシングルはアルバムの1曲目を飾る”The Voice(邦題:魂の叫び)”も15位まで上がりました。このシングル・ヒットを受けてアルバム”Long Distance Voyager”は、7月25日付のBillboard200アルバムチャートでは、”Seventh Sojourn”以来、9年ぶりに全米1位を記録し、輝かしいカムバックを遂げたのでありました。

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