5月10日は何に陽(ひ)が当たったか?
1773年5月10日は、イギリス議会で”Tea Act“(茶法)を制定した日です。
イギリスは、植民地である北アメリカ大陸13州に対し、これまで数々の経済統制を行ってきました。代表的なものとして、1764年の砂糖法(砂糖の輸入関税を徴収し、密貿易を取り締まる法)、1765年の印紙法(印刷物に印紙を貼ることを義務づけ、印紙税を徴収する法)、タウンゼンド諸条例(ガラス、ペンキ、紙に輸入関税を徴収)などがそれに当たりますが、いずれも植民地側からの激しい反対運動がおこり、イギリスに対して、”代表なくして課税なし”をスローガンに態度を硬化させました。
イギリスは、茶法の制定によって、さらなる高圧的な政策を植民地に投げかけました。イギリスの勅許会社で、貿易関連や植民地経営を本国により認められているイギリス東インド会社が、関税なしにイギリス本国から植民地への紅茶の直送を任せられ、植民地で供給、販売される紅茶よりも安く売らせることを可能にしました。これは、植民地で、紅茶の販売権をイギリス東インド会社が独占することを意味します。
植民地の紅茶商人たちは、イギリス側に対し、茶法制定反対の運動をおこしました。結果、1773年12月16日夜、ネイティブ・アメリカンに扮装した急進派市民が、ボストン港に停泊していた東インド会社船を襲撃、船に乗り込んで300以上に及ぶ積み荷の茶箱を海に投げ捨てる事件を起こしました。これが有名な”Boston Tea Party(ボストン茶会事件)”であり、100万ドルの紅茶が海に消えたと言われます。
イギリス政府は翌1774年ボストン港封鎖を命じ、マサチューセッツ植民地の自治権を剥奪することを決めたことで、13州植民地側は同年9月フィラデルフィアで第1回大陸会議を開き、イギリスと真っ向から対立することを決意したのです。こうして1775年4月、独立戦争が勃発したのでありました。
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