8月23日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1927年8月23日は、アメリカ・マサチューセッツ州の刑務所で冤罪をうったえる2人の男性が処刑された日です。歴史的な冤罪事件、サッコ・ヴァンゼッティ事件として知られるようになりました。
 1920年4月15日、マサチューセッツ州のサウス・ブレイントリーで,現金輸送中の金庫箱が5人組のギャングに襲撃され,16,000ドルが強奪され、製靴会社の従業員2名が射殺される事件がおこりました。これは2回目の犯行で、1919年に発生した1回目の犯行は未遂に終わっていました。警察は強盗殺人事件として、2人の容疑者を捕らえました。1人は靴職人のニコラ・サッコ(1891-1927)、もう1人は魚の行商をしていたバルトロメウ・ヴァンゼッティ(1888ー1927)で、2人ともアナーキスト(無政府主義者)でした。2人は共に1908年にイタリアから移住してきた、いわゆる移民で、第一次世界大戦への徴兵忌避、労働者第一主義からくるストライキ指導などを行っていたために、”赤狩り”のターゲットになっていました。
 1921年、2人は証拠不十分のまま、無実を主張するもむなしく、裁判で死刑判決を受けました。そこで自由主義者による再審運動が起こり、運動は国内のみならず全世界に波及しました。この結果州知事は請願を受け入れ、再調査を行いました。しかし、”赤狩り”の風潮の中、判決は有効とされ、1927年8月23日、2人は電気椅子で処刑されました。サッコは36歳、ヴァンゼッティは39歳でした。
 それから50年後の1977年、この「サッコ・ヴァンゼッティ事件」における再々調査の結果、この事件による判決は誤審であり、無罪であると正式に認められ、8月23日を”サッコ・ヴァンゼッティの日”が設置されることになりました。
引用文献『世界史の目 第28話

世界ノンフィクション全集〈第15〉 (1961年)ドレフェス事件 サッコ・ヴァンゼッティの最期 ローゼンバーグ事件 大逆事件

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