10月8日は何に陽(ひ)が当たったか?

1977年10月8日は、アメリカのシンガーソングライター、Stephen Bishop(スティーヴン・ビショップ)のシングル、”On and On(邦題:オン・アンド・オン)”がBillboard HOT100シングルチャートで最高位11位を記録した日です。
実は1983年10月8日も重要な日でして、この日はイギリスのプログレッシブ・ロック・グループ、Yes(イエス)の復活シングル”Owner of a Lonely Heart(邦題:ロンリー・ハート)”のリリース日で、この曲も取り上げたかったのですが今回は見送り、この曲は最高ランクを記録した日に取り上げようかと思います。
Yesとは対照的に、癖のない落ち着いたポップ・ロックで、優しい歌声を聴かせてくれるStephenですが、もともと彼はThe Beatlesに憧れてそれに似せたバンドを組んだこともありました。やがてソロ活動のためロサンゼルスに移り住んで、書いた曲のデモをレコード契約に売り込もうとあらゆるレーベルに掛け合うもなかなか芽が出ず、この活動だけで8年を費やしたとされています。
転機が訪れたのは1975年でした。アメリカのミュージシャンでStephenの友人であるLeah Kunkel(リア・カンケル)が、 アメリカの人気フォーク・ロック・デュオ、Simon & Garfunkel(サイモン&ガーファンクル。1970年解散)のメンバーだったArt Garfunkel(アート・ガーファンクル)にStephenのデモ・テープを渡したところ、Artは気に入ってデモ・テープ内に収められた楽曲の中の2曲、”Looking For The Right One(邦題:めぐり会い)”と”The Same Old Tears On A New Background(邦題:ある愛の終わりに…)”を、Artのセカンド・ソロ・アルバム”Breakaway(邦題:愛への旅立ち)”に収録することを決めたことで、Stephenはレコーディングに呼ばれました。そこでStephenはバック・ヴォーカルとアコースティック・ギターを披露しました。1975年にリリースされたこのアルバムはBillboard200アルバムチャートで9位を記録する大ヒットとなり、RIAAでプラチナ・アルバムに認定されました。そしてその中でシングル・カットされた”I Only Have Eyes for You(邦題:瞳は君ゆえに)”はHOT100シングルチャートで18位、Billboard Adult Contemporary(当時はEasy Listening Chart)で1位、そしてイギリスでもUKシングルチャート1位に輝く大ヒットを記録したのですが、この曲のカップリングとして、Stephenの”Looking For The Right One”が選ばれ、同時にこの曲も脚光を浴びました。これにより、翌1976年、ニューヨークのレーベル、ABCレコードと契約をこぎつけることに成功したStephenは、1976年にファースト・アルバム”Careless(邦題:ケアレス)”をリリース、ついにレコ-ド・デビューを飾ることになったのです。

“Careless”は、ジャンルを問わず非常に豪華なミュージシャンが参加したことも話題になりました。ギタリストとしてEric Clapton (エリック・クラプトン)、Lee Ritenour (リー・リトナー)、Jay Graydon(ジェイ・グレイドン)、Larry Carlton(ラリー・カールトン)ら、ヴォーカリストとしてArt Garfunkel、Leah Kunkel、Chaka Khan(チャカ・カーン)らが集まり、Stephenのデビューに花を添えました。
Eric ClaptonやChaka Khanが参加したデビュー・シングル、”Save It for a Rainy Day(邦題:雨の日の恋)”は、HOT100シングルチャートで1977年2月19日から2週連続で22位を記録して15週チャートイン、Easy Listening Chartでは6位を記録、同じく15週チャートインしました。ポップで軽快なデビュー曲のヒットで、Stephenは全米で大きく注目されました。
これに続くセカンド・シングルが今回取り上げる”On and On“です。ジャマイカを舞台に人々の切ない恋心をStephenがアコースティック・ギターで美しく奏でながら、優しく包み込むような歌声で歌うStephenの代表曲であると同時に、現在でも聴かれるポップス界における不朽の名作です。この曲にはAndrew Gold(アンドリュー・ゴールド)がエレキギターで参加しています。Andrewは80年代に10ccのGraham Gouldman(グラハム・グールドマン)とWAXというポップバンドを結成した人物で知られます。
“On and On”は1977年5月7日に93位で初登場しますが、翌14日付で早くも圏外に消えてしまいます。しかし21日付で92位にリエントリーし、2週92位にとどまりますが、その後88位→85位→75位→74位→63位→53位→43位→37位→32位→30位→29位→25位→21位と、曲調に合わせるかのようなゆったりとしたアクションでじわじわ上昇していき、ランクイン17週目(初登場から18週目)にあたる9月3日付でようやく19位と、Top20入りを果たしました。その後は16位→15位→13位→12位と来て、陽の当たった10月8日に11位を記録し、これが最高位となり、その後下降していきました。残念ながらTop10入りは果たせず、11月19日付の66位を最後にその後は圏外へと消えましたが、通算で半年におよぶ28週のチャートインを果たし、1977年のYear-Endチャートでは100位中30位を獲得し、この年の代表曲にもなりました。またStephen自身もArtists of the YearのPop New Artistsで7位にランクされました。
Adult Contemporary部門のEasy Listening Chartでは1977年9月24日から2週連続で2位を記録、32週チャート・インし、このフォーマットでのYear-Endチャートでは6位、Top Easy Listening Single Artistsにおいても9位を記録しました。
シングル・ヒットを受けて、デビューアルバム”Careless“は、Billboard200アルバムチャートでは1977年10月15から2週連続34位を記録し、32週チャート・インするロング・ヒットとなりました。現在でもAORやウェスト・コースト・ロック、イージー・リスニングの代表として、年齢を問わず幅広い層から支持されています。

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