1月4日は何に陽(ひ)が当たったか?

1975年1月4日は、イギリスのプログレッシブ・ロック・グループ、Jethro Tull(ジェスロ・タル)のシングル、”Bungle in the Jungle(邦題:バングル・イン・ザ・ジャングル)”が、同年同月同日付Billboard HOT100シングルチャートで14位を記録した日です。最高位は翌週付の12位でした。
1972年の5枚目スタジオアルバム”Thick as a Brick(邦題:ジェラルドの汚れなき世界)”のBillboard200アルバムチャート1位、同年、間髪入れずリリースしたベスト盤”Living in the Past(邦題:リヴィング・イン・ザ・パスト)”の3位、そして1973年の6作目”A Passion Play(邦題:パッション・プレイ)”の1位と、難解ながらも斬新で、確実にロック界の注目に値する話題作を放ち続けたJethro Tullですが、その後リリースするアルバムは、”War Child”という映画を2枚組のサウンドトラックでリリースしようとする計画でした。前作”A Passion Play”をモチーフにした内容で、ティーンエイジャーの少女の来世を物語にし(“A Passion Play”では男の来世の話)、イギリスの俳優、Leonard Rossiter(レナード・ロシター)やイギリスのコメディ・グループ、Monty Python(モンテ・パイソン)のJohn Cleese(ジョン・クリーズ)らがキャスティングされ、バレエの振り付けにイギリスのバレエ・ダンサー、Margot Fonteyn(マーゴ・フォンティン)が選ばれるなどの計画があったのですが中途でこの話は流れてしまい、1枚のスタジオアルバム、”War Child(邦題:ウォー・チャイルド)”としてリリースされました。
“A Passion Play”がリリースされる前まで、グループの中心のIan Anderson(イアン・アンダーソン)は、”The Chateu D’isaster Tapes“という作品群をパリでレコーディングしましたがリリースされず、改編されて”A Passion Play”にも盛り込まれました。そして同じく”War Child”にも周力された “Skating Away on the Thin Ice of the New Day(邦題:スケーティング・アウェイ)”や”Only Solitaire(邦題:オンリー・ソリテア)”と共に、陽の当たった”Bungle in the Jungle”も”The Chateu D’isaster Tapes”からの流用となりました。ちなみに”The Chateu D’isaster Tapes”はのちの1993年に未発表曲を集めた”Nightcap: The Unreleased Masters 1973–1991“にて収録されました。
“Bungle in the Jungle”は、”War Child”のB面2曲目に収録されました(アナログ盤)。いかにもJethro Tullらしい、独創的でなおかつカッコいいロック・ナンバーで、イントロの効果音からタイトルの”Jungle”を彷彿とさせ、いっきに中へ引きずり込まれるTullの魅力は健在です。のちに正式メンバーとなるDavid Palmer(Dee Palmer。デヴィッド・パーマー。Key,Orchestral Arrangement)の、劇的でシンフォニックな作風に加えて、Ianのあまりにも独特で幻想的なフルートの音色が抜群にマッチし、間奏部分では、ギタリストMartin Barre(マーティン・バレ。gtr)による、エレキからメランコリックなスパニッシュ・ギターに切り換わっての奏では素晴らしいの一言に尽きます。そして何よりもグループの柱であるIanの魅力的な歌声と彼しか出せないパフォーマンスでなお一層重厚な作品として聴き手をつかみます。
HOT100シングルチャートでの”Bungle in the Jungle”のアクションを見てみると、1974年11月2日付で82位にエントリーし、71位→60位→50位とほぼ10ランクずつの順調なアップで、5週目の11月30日付で40位とTop40入りを果たしました。Jethro TullとしてのHOT100シングルチャートTop40入りは1973年1月13日に記録した”Living in the Past(邦題:リヴィング・イン・ザ・パスト。初回リリースは1969年)”の11位に続いての記録でした。後はこれを抜く、つまりTop10入りを目指すことになるのですが、その後は32位→25位→20位→16位と来て、ちょうど10週目にあたる陽の当たった1975年1月4日付で14位、そして翌週11日付で12位を最高位に後は後退(18位→24位→34位→55位→70位)、念願のTop10入りは逃し、計16週のチャートインでアクションは終了しましたが、シングルでは”Living in the Past”に続く、堂々のシングル代表曲としてその名を連ねました。カナダのRPMシングルチャートでは大健闘し4位を記録、RPMの1975年Year-Endチャートでも51位を記録する大ヒットとなりました。
アルバム、”War Child”は、Billboard200アルバムチャートで1974年12月28日付から3週2位を記録、31週チャートインし、当時のアメリカでは不動の人気を確立しています。

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