2月18日は何に陽(ひ)が当たったか?

1989年2月18日は、イギリスのロック/ニュー・ウェイブグループ、The Fixx(フィクス)のシングル、”Driven Out(邦題:ドリヴン・アウト)”がBillboardのメインストリーム・ロックチャート(当時はAlbum Rock Tracks)で1位を記録した日です。実は1947年のこの日は贔屓にしているStyx(スティクス)のDennis DeYoung(デニス・デヤング)の生誕年月日だったり、2003年のこの日はStyxの14枚目のスタジオ・アルバム、”Cyclorama(邦題:サイクロラマ)”のリリース日だったりするのですが、あえて今回は2018年7月5日以来のFixxを取り上げたいと思います。
1987年のライブ盤”React(邦題:リアクト)以来、スタジオ・アルバムとしては”1986年の4作目”Walkabout(邦題:ウォークアバウト)”以来の5作目、”Calm Animals(邦題:カーム・アニマルズ)”からのファースト・シングルとして選ばれたのが”Driven Out”です。デビュー作から”Walkabout”まで、Rupert Hineのプロデュースでヒット作を積み上げてきましたが(“React”はHugh Padghamがプロデュース)、これまで所属してきたMCA Recordsを離れ、RCA Recordsに移籍しての再出発アルバムとなり、イギリスのミュージシャン、Graham Parker(グラハム・パーカー)の1985年のアルバム”Steady Nerves(邦題:ステディ・ナーヴス)”や、同じくイギリスの新人ロック・グループでアメリカで大ヒットを飛ばしたThe Outfield(アウトフィールド)のデビュー作”Play Deep(邦題:プレイ・ディープ)”をプロデュースしたWilliam Wittman(ウィリアム・ウィットマン)がプロデュースに当たることになりました。FixxのRCAへの移籍は親会社BMGのA&R(Artists and repertoire。アーチスト発掘係)も兼ねていたWilliam Wittmanのすすめによるものでした。
William Wittmanはプロデュース業のかたわら、ミュージシャンとしてもToo Much Joyというオルタナ系バンドのベーシスト兼ヴォーカリストとして活躍しており(90年代以降)、80年代でもアメリカのロック・ミュージシャン、Patty Smyth(パティ・スマイス)をはじめ、前述のGraham ParkerやThe Outfieldでもヴォーカルで参加し、ポップかつ純粋なロック・スピリッツをリスナーに表現したアーチストとして知られました。William Wittmanのプロデュースで、Fixxはこれまでのエレクトロニックなポップ・サウンドから、ギター要素の濃いロック・サウンドに変貌を遂げました。事実、個性派ヴォーカリストのCy Curnin(サイ・カーニン。vo)もリズム・ギターを担当し、メインギタリストのJamie West-Oram(ジェイミー・ウェスト=オーラム。gtr)とダブル・ギター体制としてレコーディングが行われました。
ギター・ロックがメインのアルバムとなった”Calm Animals”でしたが、1曲目に収録された“I’m Life(邦題:アイム・ライフ)”では間奏部分などはキーボード・ソロではあるものの、これまでの”柔らかさ”や”軽やかさ”というよりは、ヘビーでズシンとくるような、極端な言い方だとプログレッシブ・ロック的なアプローチで来ており、3曲目の”Subterranean(邦題:サブタレイニアン)”やラスト収録の”Cause to Be Alarmed(邦題:コーズ・トゥ・ビー・アラームド)”などは完全に90年代で見られるオルタナティブ・ロック的なアプローチであり、Fixxにとっては新しい試みでありました。ドラマーのAdam Woods(アダム・ウッズ。drum)も”I’m Life”、”Subterranean”、そして”Driven Out”の次にシングルとなった”Precious Stone(邦題:プレシャス・ストーン)”の3曲を作詞するなど、Fixxの活動の中でも最初の大きな改革でした。Cy Curninは自作の詞ではなく他人の詞を歌うことで、新しいテクニックの開拓になったと語っております(日本盤リリース時のライナーノーツより)。
こうして完成した”Calm Animals”からのシングル、”Driven Out”もダイナミックさと切なさを兼ね備えたロック・ソングで、Cyの叫びとJamieのギター・リフがいつまでも耳に残る非常に格好いいナンバーです。特にCy Curninが最後に叫ぶ”With the strength to rival you”のパートは個人的にも非常に気に入っており、リリース当時は何度も何度も聴き込んだものです。
プロモーションビデオではおそらく歌詞のストーリーに合わせた作りだとは思いますが、暗闇に光が当たるシチュエーションが最後まで続き、長髪になったCy Curninが歩きながら歌い続け、後半からメンバーの演奏シーンも登場するというものであり(映像はこちら)、Cyが歩きながら歌うというビデオは大ヒットした1983年の”One Thing Leads To Another(邦題:ワン・シング)”を思い浮かべますが(映像はこちら。以上、Youtubeより)、”One Thing Leads To Another”では下水道のような、大きな筒の中で歩いていました。
さて、Billboard HOT100シングル・チャートでの”Driven Out”は1989年2月25日付で81位初登場、その後69位→62位→62位と続き、3月25日付で55位を最高位にその後は後退(58位→61位→68位→79位→97位)し、10週のチャートインに終わりました。HOT100では”Calm Animals”からのチャートインはこの1曲で終わりました。
しかしThe FixxとしてはBillboardのフォーマットではメインストリーム・ロック部門に強さを発揮しており、これまでも1984年の”Are We Ourselves?(邦題:アー・ウィ・アー・ウィ)”や1986年の”Secret Separation(邦題:シークレット・セパレーション)”はともに2週連続の1位を記録しています。そしてロック色がより濃くなった”Driven Out”で、Fixxは過去最高のヒットを飛ばすことになるのでした。
1989年1月21日付Album Rock Tracksチャートにまず19位でエントリーした”Driven Out”は、次週で8位、その後5位→2位と順調に上がり、陽の当たった1987年2月18日に1位を獲得、そして過去最長の4週連続1位を記録したのです。その後は後退しましたが(3位→6位→15位→25位→31位→40位)、計14週チャートインしました。
またオルタナ系からの支持も得ました。1988年から立ち上がったBillboard Modern Rock Tracks(現在のAlternative Songs)では1月28日付で29位にエントリーし、翌週15位に上がり、2月11日付から2週11位を記録、結果これが最高位でしたが、その後は13位→13位→12位とあまり後退せず、3月18日付で再び11位を記録、結果3週11位を記録しその後は12位→16位→26位と後退しアクションを終えました(総計11週)。
アルバム”Calm Animals”は、Billboard200アルバムチャートでは1989年4月1日付から2週続けての72位が最高位で、現時点ではこれが最後の100以内にエントリーしたアルバムとなりました。

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