9月14日は何に陽(ひ)が当たったか?

1987年9月14日は、イギリスのプログレッシブ・ロック・グループ、Yes(イエス)のシングル、”Love Will Find Away(邦題:ラブ・ウィル・ファインド・アウェイ)”がリリースされた日です。昨日に続いてのYesですが、昨日のYesから15年後のYesを今日は振り返ります。
1980年に活動をいったん停止したYesが、Jon Anderson(ジョン・アンダーソン。vo)、Chris Squire(クリス・スクワイア。bass,vo)、Tony Kaye(トニー・ケイ。key。Tonyは再結成後に一時離脱し、再々復帰)、Alan White(アラン・ホワイト。drums)、Trevor Rabin(トレヴァー・ラビン。vo,guitar, key)の5人で、本格的な再スタートを切った1983年発表の復帰作、”90125(邦題:ロンリー・ハート)”は、新しいYesサウンドでシングル初となる、”Owner of a Lonely Heart(邦題:ロンリー・ハート)”のBillboard HOT100シングルチャート1位を記録し、第2期のYes黄金時代が訪れました。
これまでの組曲形式を中心とする大作傾向の強かったYes流プログレッシブ・ロックから大きな変革が行われ、若いTrevorを起用した、ポップ・ロック的アプローチの楽曲構成でありながらも、メンバーの高い演奏能力を武器に、急激な曲展開と美しいコーラスで、人気は復活しました。
1983年に”90125″で復活したYesの次作、”Big Generator(邦題:ビッグ・ジェネレイター)”がリリースされたのは1987年9月21日で、レコーディングは1985年頃の開始でしたが、結局は4年の歳月を費やしました。Trevorがドキュメンタリー・ビデオ”(Yesyears: A Retrospective(邦題:イエスイヤーズ)”でも語っていたように、制作が難航して完成まで大変な労力と時間のかかったアルバムです。結果的には”90125″以上にポップ・ロックへのアプローチが一段と増し、歌詞もダイレクトな内容が多くなりました。この”Big Generator”からの先行シングルが”Love Will Find Away”で、これまで”Love”が入ったタイトルは前作”90125″に”City of Love”がありましたが、シングル・カットされた”Love”付タイトルはおそらくこの曲が初めてだったと思います(未発表曲や”Big Generator”以降では”Love”のついたタイトルは散見します)。

“Love Will Find Away”の作者はTrevorで、本来この曲はTrevorがイギリス/アメリカのロック・グループ、Fleetwood Mac(フリートウッド・マック)のStevie Nicks(スティーヴィー・ニックス)用に書かれたものでしたが、Alan Whiteの推奨よりYesの楽曲として使用されることになりました。メイン・ヴォーカルも彼がとりますが、曲全体のヴォーカル部分にバッキング・コーラスがかかっており、終始メンバー全員で歌っている感覚を受けます。元祖YesヴォイスであるJonの歌声はバッキング・コーラスでも存在感が大きく、途中Jonのみのメイン・ヴォーカル・パートが少しほどあります。エネルギッシュなTrevorのヴォーカルも素晴らしいですが、従来からのYesファンにしてみれば、やっぱり透明感のあるJonのヴォーカルが聞こえてくると嬉しいものです。プロモーション・ビデオは、エレクトリック・シーンとアコースティック・シーンと呼んだらいいのでしょうか、メンバーがエレキ機材とアコ機材を使い分けて演奏している2つのシーンで構成されています。エレキ・ヴァージョンでのChrisが使用した赤色の5弦ベースは30年以上経った今でも色褪せないまま脳裏に焼き付いております。
シングル・ヴァージョンではイントロのストリングスがそっくり削られ、エンディングも早く終わるように編集されましたが、7分のエクステンディッド・ヴァージョンも作られるなど、Danceチャートにも反映されるようなプロモーションが施されました。HOT100では1987年10月3日に76位で初登場し、その後65位→54位→42位と順調にアップし、5週目で40位とTop40入りを果たしました。その後は37位→34位→31位とアクションが落ち着いていき、11月28日付の30位を最高位に下降を始め、結果19週チャートインしました。お世辞にも”Owner of a Lonely Heart”ほどのチャート・アクションは見せませんでしたが、メインストリームロックチャート(当時はAlbum Rock Tracks)では依然として根強く、”Owner of a Lonely Heart”同様、1987年10月24日付で1位を獲得しています。ただし、70年代のYesを知るリスナーにしてみれば、その内容が往年のプログレッシブなYesからかけ離れ、そのサウンドもあまりにもポップすぎて賛否が分かれた曲でもありましたが、印象的なギター・リフやハーモニクス奏法など、ポップな中にもテクニカルなパートがあり、この曲を聴いてYesを好きになったファンもいるのではないでしょうか。

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